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となりの国

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その日に起こった不幸のどん底と幸運について

ダビッドの安宿も今日でお別れしよう。

そう誓って朝に目覚まし時計をセットしておいたのだが、

目覚ましを止めてから、あともう30分寝てしまった。

起きて急いで支度をし、もうすぐ準備完了というところで本を読んでしまう。

サンホセの日本人宿でもらってきた秘蔵の本のうちの1つだ。

おれに本を渡してはいけない。

面白い本だと1日中読みふけて、ラストまで全部読んでしまうのだ。

1ページの文章量にもよるが、200~300ページくらいだったらその日のうちに読み終わってしまう。

ただし、興味のない本だと何ヶ月もかかってしまうのだが。

これを読んでしまったために出発は猛烈に遅れ、部屋を出たのが11時を完全に過ぎていた。

愚かな。



少し迷っていたが、やっぱりボケテの町へ行ってみようということに決定。

そちらへ向かう。

調べたところによると、ダビッドが標高-2mくらいでボケテは1000mくらい。

これはキツい上り坂が続くぞ…

と覚悟していたのだが、全然そんなことはなかった。

どちらかというとアップダウンが激しい。



    ↑道路はとてもきれいに整備されていて走りやすい

Boqueteの看板も見当たらないので、途中で道を間違えたのか不安になったほどだ。

不安にはなったが、しかし人に聞くのは面倒くさい。

抱いていた疑念は、道すがら通ったLos Anastacios(ロスアナスタシオス)の村と、そこで男子学生が叫んだ「ボケテへ行くんだろ」という言葉そして指をさす方角で晴れた。

だいたいボケテとダビッドの間にあるDolega(ドレーガ)という町を通り抜ける。

想像より小さいというか、華やかではなかった。

さっきのロスアナスタシオスの方が賑わいがあって好きだ。

通り抜けただけだから実際どうかはわからないが。

時間を見ると1時過ぎ。

もしかしたら2日かかるかもしれないと思っていたが、これで半分だったら楽勝だな、

と余裕ムードだ。

だがしかし、ここからが大変だったのだ。

ここからくだり坂はほぼなく、ずっと地味ーな上りが続く。

アップもダウンもない、真っすぐなこの坂は
長時間走っていると平地に見えてくるほどだった。

これが徐々に体力を蝕んでいくのだ。




ちょっと走ってはバス停で休むペースにまで落ちてしまった。

なにより背負っているザックが重い。

中の荷物を整理したい。

どこかで売れるかもしれないと思い、物をほとんど捨てられないでいたのだが、

サンホセで色々と買いそろえてから本当に体にキツくなった。


これではこの先マズいかもしれない。

そろそろどうするか考えるべきか。

何度目かのバス停休憩をしていると、大雨が降り出した。

まだ4時前だからと、のんびり本でも読みながら雨が止むのを待っていたのだが、一向に止む気配がない。

本が一区切りついたところで時計を見ると、5時30分を指していた。

あたりは暗くなり始めている。

これはもう行かなければいけないかもしれない。

雨が降る中ダッと走り出した。

するとすぐ目の前にホテルの看板らしきものが。

これはラッキー

とばかりにそちらへ逃げ込む。

しかしだれもいない。

どうやらラブホテルだったらしい。

あちこちにライトが付けられているところを見ると潰れてはいないと思うのだが。

これ以上濡れたくなかったので、声を上げて呼びかける。

小屋の中から老婆のような声が何か叫んだ。

が、何を言っているのかわからない。

こちらからでは姿も見えない。

ここはホテルか。

という問いに対し、なんだか長くてわかりにくい返答をよこす。

そうだけど今はやっていないということだろうか。

ボケテまではあとどれくらい?

と聞くと、あと5kmくらいらしい。


それならもうすぐだ。

ちょうど雨も小降りになってきた。

しかしこの先にいた人曰く、まだまだ遠いとのこと。

バスを待っていた女性に話を聞いてみると、

この先そんなに遠くないところにホテルが2軒あるらしい。

その話を信じ、ボケテ方面へ道をつき進む。

再度雨が強くなってこようとも、
他の人たちに「この辺にはホテルはない」と何度言われようとも。

おかげで全身ずぶ濡れ。

頭痛がする。

体はいいが、荷物がべっちゃべちゃでどうしようこれ。



今の状況を一言で言うと、

最悪だ。



本当にあるのかよ…

と疑い始めたそのとき!

Boquete river innの文字が!!

よかった、本当だった。

その道を行くとinnより先にキャビンホテルがあった。

もうどこでもいい、近いしここにしよう。腹も減ったし寒い。

門は締め切られていたが、5分ほど粘ると老年の男性がたまたま外に出てきた。

呼びかける。

キャビンについて尋ねると、部屋はあるが60$もするらしい。

さすがに高すぎる。

20$しかないことを伝えると、ちょっと待ってろと言われ家の中でなにか相談している。

そして
「こっちへ来い」
と言われた方へついていくと、キャビンの中に案内してくれた。

それがめちゃくちゃ豪華できれいでまるで一軒家のような内装だった。

   ↑高そうなソファに広いTVスペース


    ↑キッチンには冷蔵庫、電子レンジ、砂糖や塩などの調味料も揃っている


    ↑清潔なベッドルーム


    ↑洗濯機までついてる


    ↑テーブルには雑誌がズラリ


1泊なら20$でOKだ、と男性。

こちらはその豪奢さに呆気にとられながらコクコクと頷く。

しかし君だけだからな! と念を押された。

さすがに悪いと思ったので20$+財布にまだ入っていた7$、つまり財布の中の紙幣全部を渡したのだが、

いや20$でいいよ

と返してくれる。

なんてダンディなんだ!

強ばった顔をしてなんてダンディ。

こんな華奢なとこに泊まっていいのだろうか。

あまり汚さないようにしておこう。

それにしても「捨てる神あれば拾う神あり」というのはよく言ったものだ。

さっきまで最低だった運気が、一瞬で最高潮に達している。

一旦出て行った男性が、パンとスライスチーズとハムを持って戻ってきた。

くれるらしい。

なんとありがたい。

40$負けてくれているのに。



男性にガスを付けてもらったり冷蔵庫を起動してもらったりしていいる最中、部屋に犬が1匹入ってきた。

さっき玄関口でギャーギャー吠えてきた中の1匹だろう。

茶色と黒と白の中型犬で、キツそうな目のまわりにはまつげのような黒い毛が長く伸び、毛並みは非常によくて短くきれいにそろえてある。

顔は厳しそうだが、その動きには上品さが見て取れた。



かわいい。



なでようとすると嫌がるのだが、こちらには興味があるようで近づいてくる。

しゃがみ込むと控えめに匂いを嗅ぎ、伸びた顎髭を舐めようとしてくる。



か、かわいい。



主人が呼びかけてもここに居たがっている素振りを見せている。

彼女にはかなり気に入られたようだ。




    ↑コーヒーメーカーまである


    ↑落としたコーヒーからいい香りが漂ってくる


キッチンで作ったラーメンと貰ったもので作ったサンドイッチ、それに備え付けの落としたコーヒー。

くはぁ、最高だ。

サンドイッチがおいしすぎる。


シャワーを浴びて上質のベッドにダイブ。

ああ、幸せってこんなに近くにあったんだね…



今日読み始めた本をすべて読み終わり、この記事の下書きと動画編集をする。

なんだか体が熱い。
熱があるのかもしれない。
喉も朝より痛くなっている。

こりゃあ、完全に風邪引いたな・・・




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