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となりの国

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本当にあった『ウルルン滞在記』





マリキタの町を出て走る、木に囲まれた坂道。
この道はサイクリストが多い。


時おり多数の車やバイクに囲われて走っているサイクリストたちが、自分の横を颯爽と通りすぎていく。

レースかなにか行なわれていたのだろうか。




    ↑美しい道ではあるが、楽な道ではない



                     ↓この辺にマリキタの名前がある

↑この”ス”は次の目的地「マニサレス」の”ス”



走って早々休憩し、オカリナを吹いている自分のそばで、 そのすぐ隣の家へ遊びにきた男性サイクリストが一人、自転車と共にたたずんでいる。

何度大声で呼んでも家の人は出てこないらしい。


家に入るのはあきらめ、こちらに目標を変えてきた。


ロックオン。

そして発射。
その男は、自分にとっては異国となる言葉を打ちはなった。



マニサレスへ行く、
と何度言っても「マンサナーレス」と聞き間違えるし、同じ質問を何度もするので耳が悪いのかもしれない。


そんな初老の男と一緒に行くことになってしまった。




荷物のない男はさっさと行ってしまい、こちらは自分のペースでペダルをこぎ、そして歩く。


男は坂をのぼっていっては距離がある程度離れると一気に坂をくだってこちらのもとへと戻る。
そしてまた先へ。

その繰り返し。



    ↑カカオの実が途中にあったのを教えてくれる男



    ↑こんな南国っぽい花もあった



   ↑アップ画像。少し横から見るとこんな感じになっている




「もうすぐ下り坂だから、もうすぐだから」

と何度も騙されながら、5度目の「もうすぐ」で本当のくだりに到達。
しかしすぐに地獄ののぼり坂へと戻る。



    ↑景色はめちゃくちゃきれいだった



    ↑川が流れている。有名な川らしいが詳しくは忘れた




「もうすぐFresno(フレスノ)だ」という男。


ホントかよ!!
もう信じられんぞ!





そんな2人の前に果物屋があったので、休憩がてらによっていく。


バナナを2本おごってくれる男。
そしてバナナを一房おごってくれる店員。


そ、そんなにですか!?






この店員に、
今日はフレスノで泊まること、もしかしたらテント泊するかもしれないことなどを伝えると、

「フレスノでキャンプは危険だから今日はここに泊まっていったら?」

と勧めてくれた。


そのご好意に甘え、彼の実家にテントを張らせてもらうことになった。





テントを張り一息つくと、コーヒーを何杯もいれてくれる。
ゆでた黄色い実もたくさんもらった。


chontaduro(チョンタドゥーロ)もしくはcachipai(カチパイ)と呼ばれる実で、味は栗やサツマイモのような感じ。
匂いも栗に近い。

食感はサクサクしていて、パサパサで喉が渇く。

真ん中に大振りの種が入っており、この種を割って中の白い実部分も食べるらしい。
これはこのあたりのココナッツ(☜別の実の名前だったかも)と呼ばれているらしい。


食べると力がつくというジェスチャーをしていたので、このカチパイの実はタンパク質が豊富なのかもしれない。


 
    ↑この手にもってるのがカチパイ




    ↑後日フレスノで撮ったカチパイの実。赤いやつ




「日本食を作ってくれよ」

と頼まれた。
バナナをくれた青年クリスティアンのバイクに乗せてもらってフレスノまで買い出しに行くことに。


これは、この先どんな道を走るのか知ることができてとてもよかった。
ここから町までほとんどのぼり、距離にして10kmほど離れているらしい。

辛い道のりが待っているということがわかった・・・



クリスティアンは実家を離れフレスノで一人暮らししているらしい。
その家で一度着替えを済ませる。

てっきりあの実家にすんでいるものとばかり思っていたが、果物屋は毎日バイクで通っているそうだ。


それから買い物。

人数が多いと分量がわからないので、かなりアンバランスな買い方になってしまって申し訳なかったが、こちらの支払いは彼によって拒否された。




帰ってくるとすでに暗く、
「今日はもう作れないね」
ということで、ここの家の人が夕食を作ってくれ、それをいただく。



    ↑おばあちゃんが作ってくれたレバーのスープとトマトごはん。これがめっちゃうまい



ごはんをもらったあと、3つ上の写真に写っているカルロスが、

「俺の家にテントを張ればシャワーもあるから居心地がいいんじゃないか」

と言ってくれ、すぐ向かいにあるそちらの家へ移動。



きれいなバスルームがあって屋根のあるところにテントも張れて、本当に過ごしやすかった。

この日の夜は大雨が降ったので助かった。




家に泊めてくれたこの男性、カルロスは農家をやっているらしい。
地主に雇われ、果物を育てたり収穫したりしているんだそうだ。

次の日には敷地内の果物の木々を見せてくれたり、果物を見せてくれたり、家畜のブタにエサをあげたり、仕事の内容を案内してくれた。


夜に売り上げをパソコンに打ち込む作業も見せてくれたが、かなり良い利益を上げていた。

日本に比べるともちろん少ないが、コロンビアではかなり高いほうなのではないか。
ただパトロンがいるということなので、そこから相当な額が引かれると考えると、収入は画面で見るほど多くはないのかもしれない。




    ↑これ全部種類が違うアボカドらしい。こっちではaguacateアグアカテと呼んだり他にも(abogadaアボガーダとかだったかな?)色々呼び方があります。詳しくは忘れてしまいましたが、ラテンアメリカのスーパーや八百屋を回ってみると様々な名前が見てとれます。




最初にテントを張った本家(カルロスもクリスティアンもここの家族)へ行って、安楽椅子で昼寝してしまい、時刻は昼過ぎ。


カルロスの仕事を手伝おうとしたところ、クリスティアンがやって来て「それよりさっそく料理を作ってくれ」と言われ、カルロスには「もう1泊してもいい」と言われていたので、

もうね仰せの通りに。


今日の出発はキャンセル。
だってみんな優しいし。
居心地いいし。




キッチンを借りて調理開始。

作るものは親子丼といつものトマトスープ。
トマトスープは他に考えるのが面倒だったのでそれにしました。


こっちの鶏肉は全部骨がついているので、手伝ってもらい肉をはがす作業から。
ものすごく大変だった。

豚肉にするんだった。
こっち鶏肉高いし。



    ↑中学以来作っていなかった親子丼。なかなかうまくいった





完成。


量がわからなくて少なくなってしまったが、みんな喜んでくれたようでよかった。
でもトマトスープちょっと酸っぱかった…


これも含め、この日は4食も食べてしまったのだった。




その後の時間は、
ここの男の子たちとサッカーをして遊んだり、カルロス宅の女の子とホースを丸めたおもちゃを投げて遊んだり、
それから犬たちをなで回したりして遊んですごした。













この日かたづけてしまったテントを再度張ろうとしたところ、なんとカルロスがベッドのある部屋を用意してくれた。

寒いだろうからここで寝ていいよ、と優しい笑顔を向けてくれる。




次の日、朝からスコール。
朝食をもらったあと、今日は学校に先生が来る日だから行ってみようとカルロスに誘われる。

ここは町から距離があるので、先生は毎日来ないらしい。



さすがに今日は出ようと思っていたのだが、雨もひどいし、せっかくなので見学させてもらうことにした。



着くと同時にカルロスが授業をボイコットし、といっても先生も賛成してくれてる様子なのだが、

こちらの紹介から始まり、世界地図やこのあたりの地図を出して日本はどこにあるのか、この辺はどういう地形になっているのか、などの地理の授業に早変わり。


それから、彼らが一生の中で一度でも使うとは思えない日本語の授業が始まる。
ホワイトボードに日本語のアルファベット(ひらがな)を書いて一緒に読んでいった。



    ↑小学3〜5年生のクラス。一番左の女の子がカルロスの娘、左下の男の子が一緒にサッカーした本家の子




    ↑こんなのを書かされてしまった。これをもとに自分の名前をひらがなで書く子もいてとても賢い




    ↑こっちは日本で言う幼稚園〜小学2年までのクラス




    ↑先生が算数を教えているところを見学させてもらう。教えるのかなり大変そうだった




雨が上がったので、唐突だが今日出て行くことを伝える。

カルロスたちはいつものように優しい笑顔で送り出してくれた。



    ↑いつも逃げられていたカルロス宅のネコも最後には腹を出してなでまわさせてくれた




本家へも挨拶に行く。

セバスティアン達にさよならを言う。

おじいちゃんは「またいつでも帰っておいで」と言う。
おばあちゃんは「なんで行ってしまうの?ここはあなたの家よ」と言う。


まさにウルルン滞在記だ。


 












 



たった2泊3日だったが、かなり濃い日々を過ごした。

とても楽しかったので、別れるのは惜しい。




みんなに背を向ける。

さあ、出発だ。





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