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となりの国

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警察のお世話になる



朝、

浮浪者っぽい人にしつこく声をかけられて目を覚ました。

日曜日だからだろうか、広場には人があまりいない。

ここに来る前は、勇気を出して広場にてオカリナでストリートパフォーマンスをしてみようかとも企画していたが、こう人が少ないと身も心も寒々しい感じで終わるような気がしたのでやめた。

ダラダラと寝袋を片付けた。

昨日の犬を連れた警官と別の警官がこちらの様子を見にきてくれた。

犬の警官はなにもなかったとわかると特に興味無さげだったが、もう一人の警官は色々こちらのことを聞いて楽しそうにしてくれていた。

昨日歌声が聞こえてきたすぐ後ろの教会を覗いてみたが、ミサの最中だったので入らずに去る。

見所である塩の教会がある丘へ。

門のところで警備員に「ヘルメットがないから自転車はダメ」と止められたが、そのときは何を言っているのかわからなかったので、何度も聞き返し続けたら相手が折れてくれて通してくれた。


別に悪気があって聞き返し続けたわけではない。

ということにしておく。



坂が辛く、ゆっくり自転車を押して登っていく。

昨日の疲れが抜けていない。

脚にきている。

駐車場でさっきの警備員が待っていてくれて、自転車を停めるのを手伝ってくれた。

その駐車場から階段を登ればすぐにチケット売り場がある。



チケット売り場

そう、塩の教会に入るには入場料が必要なのだ。

そしてその値段は、23000ペソ(1175円くらい、2015/1)。

これは…



金がないってときに、こんなの絶対払えない!

事前にこの教会のことを調べてみたのだが、ここに行った人の感想に「イマイチだった」というのがあったので、
この料金でもとを取れるか考え、そしてこう思った。



きっと入っても後悔することだろう。



「やって後悔するよりもやらずに後悔するほうが辛い」という話をよく聞くが、

実際はやって後悔したことのほうが後まで残り続けて苦しいものだ。

そう思った自分はチケットを買わず、そこからの景色を楽しんだり、他の観光客から携帯で写真を撮られたりしながらのんびり過ごした。





    ↑本当は昔に作られた塩の教会1世(現在封鎖)からの見晴らしがもっとずっといいらしいが、疲れるので行かなかった。くわしい場所もわからないしね



前回の投稿でも書いたが、シパキラはこの教会以外にも町が町らしく機能していて、見てまわるのもなかなか楽しいと思う。

ひさしぶりの走行で体が疲れていたので、安宿を探してもう一泊しようか考えた。

朝のこの時間だったら部屋も空いているかもしれない。

しかし金がないという現実と、なんとなく自転車を走らせたい気分にかられて先へ進むことにした。



この「なんとなく自転車を走らせたい気分」というもの、
自分にとっては非常に珍しいことである。


これは一種の勘のようなものが働いたのかもしれない。
というのも、、、


 _____________



昼前にシパキラの町を出た。

今度はもっと北にあるTunja(トゥンハ)という町を目指して走る。

ここはアウトピスタ(高速道路)が2つ並走して通っているのだが、トゥンハはもう一方のシパキラから離れた道路にある。


2つの道路を繋ぐ狭い道路をまずは抜けた。

路面がボコボコで少し走りにくかったが、道路脇に見える林や家々は意外と綺麗で苦ではなかった。

隣のアウトピスタに入った。

ここからはひたすらまっすぐ進むのみ。

さすがツールドフランスのチャンピオンの生まれ故郷が近いとあって、自転車に乗ってる人がたくさん横を通っていく。




それと景色がとてもきれいだ。














はしゃいでムービーを多めに撮ってしまった。


途中昼休憩をはさみながらずっと走っていると、後ろからバイクの警察が来て走行を止められた。


パスポートを見せると、

荷物を全部開けて見せろ、と言う。



その前に一応相手のIDチェック。
警察カードを見せてもらい、顔写真と本人の顔をじっくりと見比べてやった。


〜〜〜ちなみに〜〜〜

このIDというのは中南米では誰でも持っているものらしい。
そのため、ときたまホテルなどで

「ID(もしくはスペイン語で「なんとか」というが忘れてしまった)を見せろ」

と言われ、パスポートを出すと

「いやこれじゃない」

とか

「もうひとつのやつ」

とか言われることがある。


これはその住民IDを指しているのだろう。

ボゴタの友達マリさんも、3回くらいこのカードをなくして困ったと言っていた。


ただ、仕事のものと個人のものが別れているのかどうかなど、わからないことが多い。
いまだ謎に満ちている。


〜〜〜〜〜


始めは自転車にくくりつけていたものを見せていたのだが、バックパックを開けろと言われてからしだいにイライラしてきた。

物を一個一個見せながら出していくので非常に時間がかかるのである。

すでに夕方の4時。

予定ではまだ30km先に行く予定だった。

イライラしながら雑に荷物を見せる。

ナイフは持っていてはダメだと言われたが、料理に使うからダメ!と言って無理矢理取り返した。

こちらがスペイン語を話せないとわかると、そのうちにスペイン語講座のようになっていった。

ひとつ見せては、

これはpantalon(ズボン)だね、これはportatil(ノートPC)と言うんだ、


とスペイン語に変換してくれる。



こちとらスペイン語なぞろくに話せないものだから、これがけっこうありがたかった。



そんな風にしだいに、そして自然に打ち解けていくが、やはり時間の問題は重大である。


警察にまだまだ残っている荷物を見せながら、

今何時? 次の町はどれくらい? 安いホテルはある?

と苦々しげに畳み掛けた。


それに答えながら警察は、

俺のうちに泊まってもいいけど?

という誘い文句が!


え。いいの?


そして荷物を全部しまい終わるのを待ってから、バイクでゆっくり道案内してくれ、



辿り着いたのは小さな村の家。

本当にその警察官の家に泊めてもらえることになったのだ。

これはラッキー。

むしろ調べられてよかった。


そんなわけで、Sesquile(セスキレ)という小さな村で過ごすことになった。


この日は朝食昼食飲み物合わせて9500ペソ(475円くらい)

この旅で節約できてるのは珍しいことです。




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