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激しく押し寄せてくる日々 その1 まちのじゅく




これから起こる怒濤の一週間の話をしよう。

まずはボゴタを出ていった日の出来事から。


1月23日

やっとボゴタを出発できる日が来た。

優に2週間は滞在していただろう。

そしてそんな長期間の滞在の間に、大変なことに気がついたのだ。


それは、



お金がもうない。





本当にもうマジでない。
冗談じゃなく。


…どうしよう。


いやね、お金はネットバンクに預けてあるのですがね、ここ数国では携帯が繋がらなくてね、残金を確認できなかったんですよ。それでね、まだあると思ってたのが、突然ATMから引き落とせなくなってね。そりゃああせりましたよ。で、金が残っていないということがわかりましてね。で、ゆうちょ銀行からなけなしの貯金を下ろしたわけなんです。完全に計算ミス。というか計算なんてしてなかったんだけれども。



一度日本に戻ることも考えた。

しかし、ギリギリの行けるところまで行ってみようという結論に達した。

なによりこんな中途半端なところで終わるわけにはいかない。


中途半端といっても、コロンビアの首都ボゴタということを考えるとそんなに中途半端でもないのだが。

ボゴタは国際空港が街中にあるし、日本食屋や日本を歓迎しているホテルもあるので、自転車も置いておけるかもしれないのだった。

だけど、それではなんだか納得できなかった。

一時撤退はもう少し先になりそうだ。
そう願う。

さてそこで、
金がないので急いで走ろう
ということになった。


時間をかけるとその分費用がかさんでしまう。

一日50km以上を目指してがんばっていくことにしよう。


山道を走るのにそんなの決めて大丈夫か、と聞かれると…

多分無理だろうね。

でもさ、心意気って、大事じゃん?

50kmはあくまで目標ってだけです。

目標は破るためにあります。良い意味でも悪い意味でも。

まずは北へすすみ、Zipaquira(シパキラ)という町を目指す。

ここは観光地になっていて、塩の教会という洞窟教会が人気だそうだ。

町を出発してしばらくはボゴタの街中を走る。

さすが首都だけあり、広い。

2時間ほど走っただろうか、景色はスラムから山道に変わり、横を流れるキャンプサイトを羨ましげに見ながらそのまま狭い道を走る。


ああ、あそこに泊まったら安くすむのに。
アラスカとカナダの日々を思い出した。

そんな回想にふけっていると、一気に道が広くなり高速道路に変わった。

    ↑広い。きれい。


そのままChia(チア)というボゴタとシパキラの真ん中あたりにある町を通り過ぎる。

ここでまだ14:30。

自分の足だと今日中には着けないかもしれないと思っていたが、この分だと間に合いそうだ。

チアの町外れまで来たあたりで雨が降ってきた。

ガソリンスタンドで雨宿り。


オカリナを吹きながらしばらく待ち、雨は小振りになったので再出発。

ここでキャンプさせてもらってもいいな、と思ったが、金がもうないので早く進まなくてはいけない。

宿代が浮いたとしても、食費がかかってしまうからだ。

アップダウンを繰り返し、





    ↑途中から自転車道が作られていた。助かる〜


夕方にはシパキラに着いてしまった。

たしかここまで50~60kmは離れていたはずだが、まさか着いてしまうとは。


町に入って早々、自転車に乗っている町人に話しかけられた。

スペイン語はわかるか?と聞かれた後、

昨日fecebookで僕に「君の家に泊まりにいくよ」ってメッセージ送られてきたんだけど、あれは君だった?

と聞かれた。

覚えのない自分は即NOを出した。

…一体全体どういう状況だったのだろう。

もしかしたらうまく言いくるめてなんとか頑張れば、その人の家に泊めてもらえた可能性もあったのではないか。
去ったあとにそう思った。

それは後々ちょっとだけ後悔する記憶となる。


町へ入る。

”塩の教会”という響きからてっきり小さな村のなかにあるのかと思っていたのだが、意外としっかりしたところだった。

とても広い! というわけではないが、近代的な店の造りをしていて、商店街もわりかし賑わっており、土産屋やスーパーも点在している。

そして宿探しだが、見つけた宿に入ったらなんと満室、その向かいの宿は1日だけ空いていると言われたが、50000ペソ(2500円)と大変高い。

この日は土曜日だったために安いホテルはどこも埋まっている、というのが宿のおばちゃんの意見だ。

警察に安宿を聞いたりしながら町をグルグルまわって探したが、どこも高値もしくは満室だった。

しょうがないので広場で野宿することにした。

さっき宿の場所を聞いた警察官がこちらを見つけて話しかけてくれた。

ここに寝ていいか聞いてみると、

いいけど寒いし物盗られるよ

という返答。

まあしょうがないよね。

盗まれないように気をつけよう。

犬を数匹引き連れたその警官が他の人に連絡して、仕事の時間ギリギリまでホテルを探してくれながらそばを見張ってくれていたが、結局ホテルは見つからなかったようだ。



    ↑警官が連れていた犬の一匹

教会から『アベマリア』などの聖歌を甲高いソプラノ声で歌っているのが聞こえてくる。
少しノスタルジックになる情景だった。

広場の椅子に寝袋をしいて自転車とザックをチェーンで結ぶ。

寝袋の前には自転車があり、身を守ると同時に触られたらすぐわかるようにした。

手にはナイフ。

ポケットには小型ナイフとペッパースプレー。

これで準備は万端だろう。



    ↑通りすがりの人から見るとこんな感じ



    ↑ちょっと見えにくいけど荷物と自転車が全部繋がっているので、このまま持っていくのは苦労することだろう

ちなみに、ここで初めてシュラフカバーを使った。

日本ではよく寝袋オンリーで眠っていたのだが、夜露でベッチャベチャになって後始末が大変だった。

それを反省して買ってきたのだが、海外ではいつもテントを張っているので使い時が全然なかったのだ。

このシュラフカバー、なかなか扱いが難しく、うまく使うには慣れが必要みたいだ。

気がつくと寝袋の中ではなく間違ってカバーと寝袋の間に入ってしまっていた。

寝袋はつるつる滑ってすぐにズレるし、カバーは狭くて動きにくいしで立て直すのが億劫になり、

寒いけどそのまま寝た。

パラパラ雨が降ってきたり、何度か自転車を引っ張られたり、別の警察が声をかけてきたりしたが、何事もなく朝を迎えることができた。

結果、この日は昼飯の5500ペソ(275円)しか使わなかった。



明日はいったいどうなるんだろうか。
お楽しみに。



関係ないけど、ボゴタにおもしろい看板があったので載せておきます。



    ゴキサンドイッチ!



値段は安めだが、全部に「ゴキ」がついている。

簡易ゴキ
チーズゴキ
羊ゴキ

 ・
 ・
 ・

一番下はゴキミックス。


味はおいしかったけど、安い分量が足りなかったです。
軽食にはいいかも。




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