その地図に載っていない村の名は、Estacion Padua(エスタエスィオンパドゥア)というらしい。
そこでこれまた2泊してしまうのだが、とくに何か見所があるわけでもない平和な村だ。
節約のためにバンデーハではなくエンパナーダ(米入りコロッケのようなもの)で食いつないだ。
ちなみに、bandejaバンデーハとはプレート料理のこと。
almuerzoアルムエルソ(昼食)やcenaセナ(夕食、コロンビアではセナではなく単にcomidaコミーダ[=料理]と呼ぶことが多い)では肉や魚が乗った料理の他にもスープや飲み物がついてくるところがほとんどだが、メニューにバンデーハと書かれていた場合はそれと区別されスープがつかない。
言い換えると、アルムエルソにはソパ(スープ)とバンデーハとフゴ(ジュース)がついているということだ。
↑エスタエスィオンパドゥアの前景
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朝。
この日は一昨日辿り着けなかったラ・リビアという町まで今日は走る予定だ。
↑標高もかなり高くなってきている
坂をいくらかのぼったのち、レストランが見えたので立ち寄る。
値段を聞いてみると8000ペソ(400円)とそこそこ高い。
人里離れたところだから仕入れに運搬費がかさんでしまうのだろうか。
値下げ交渉してみると、5000ペソ(250円)で料理を作ってくれることになった。
料理名がわからない自分に、どんなものがあるかフタを開けて見せながら説明してくれる主人。
そして、隣で食べていた人は帰り際、なにも言わずにこちらの料金を払ってくれた。
すごいでしょ?
コロンビアって。
親切なコロンビアの人たちのおかげで、旅費が大幅に減らせている。
もう資金が底を尽きようとしているので、これは本当にありがたい。
↑奥のスープもついて250円!
↑優しい主人に写真を撮らせてもらった。今気づいたが屋根に☆がついていて意外とオシャレにしてある
長屋のようになっている土産屋を通り過ぎ、ハリウッドのような看板を見ながら霧の中を突き進む。
↑お土産やがポツンと建っている
↑artesanias colombianasアルテサニアスコロンビア—ナスと書かれている。コロンビアの手工芸という意味。多分
やっと下り道が現れた、
とそのとき、
パキン
という甲高い音が後ろから聞こえた。
そしてタイヤに何かが擦れる音が…
荷台をひっかけている紐が外れたのかと確認してみると、なんと荷台そのものが壊れているではないか!
サドルの根元に留めている固定棒が両方とも折れてしまっていた。
↑ここがこう!
荷台がタイヤに乗っかってしまっているので、これでは先へ進むことができない。
↑こうなってる
町までバスで行くしかないな
と考え、運良くすぐそこにあった大きめのきれいなレストランへ。
そこのおじさんがコーヒーを持ってきてくれながら、
バスはここに停まるから大丈夫。値段はマニサレスまで自転車含めて10000ペソ(500円)だね。お金厳しいの? じゃあ8000ペソまで交渉してやるから。全部俺が面倒見てやるから心配するな。
と、バスの運転手と運転手補助(多くのバスにはバスガイドのような補佐役が一人乗っている。大抵男)へのこちらの状況説明から自転車と一緒にバスに乗る方法の享受から、色々とお世話になった。
↑待っているときに見つけた蛾。毛が生えていてきれいな色だったので激写。もっとアップの写真もあるのだけど、嫌な人もいると思うので載せるのやめました
今日は土曜日なので帰省者が多いらしくどのバスも満員。
ここに停まってくれるバスはなかなか現れなかった。
2時間ほど待ち、やっと席が空いているバスが到着。
そこに乗り込む。
後ろの人が自転車を倒れないように押さえてくれたり、隣の人が話しかけてくれたり、乗客たちもみなとても協力的だった。
バスが発進すると、急カーブと急勾配の連続に5分でグロッキー状態に。
酔った。完全に。
吐きそうだったので意識を集中させ、目を閉じる。
2時間後。
眠っていた自分は車内の電気が点くとともに目が覚めた。
まもなくマニサレスに着くらしい。
バスターミナルで降ろされる。
値段は10000ペソと言われたが、「8000ペソ!8000ペソ!」と連呼したらちゃんと8000ペソにしてくれた。
その運転手さんが安めのホテルがある場所を親切に教えてくれる。
いつもは自分の目と足を使って道づたいに町へと入るので土地勘のようなものが生まれるのだが、バスに乗るとそれがなくなり心細くなる。
知らない場所にいきなりポンと放り出されるような寒々しい心持ちになり、少しだけ孤独を感じた。
荷物をすべて降ろすと、隣に座っていたバックパッカーらしい2人組がこちらへ来てスペイン語で何かをまくしたて、そして突然ターミナルの警備員の女性に金を払えと言う。
しかしそんなこと突然言われてもはいそうですかと払うわけもなく、盗まれる危険性があるのに置いておきたいはずもない。
それに突っぱねると、少し動揺していたバックパッカーたちは数分後にさよならを言って去っていった。
自転車を組み立て荷物をくくりつけ終わったころになり、やっと彼らがしゃべっていたその事情を飲みこめてきた。
今日は土曜日で明日は日曜日。
なので自転車屋は休みだ。
そこで、
ここに荷物を月曜日まで預けて一緒にタクシーでホテルに行こう
ということだったらしい。
だから寝る場所がどうのとかタクシーがこうのとか言っていたのか。
荷物預かり所の看板には[12時間で3000ペソ]と書かれていたのが見えたので、おそらく彼らは月曜までの預かりで3000ペソにしてもらうよう交渉してくれたのではないか。
とっても親切な彼らの好意をふいにしてしまった。
しかしあんなにスペイン語をまくしたてられてもこちらもわかるはずもないし、いきなり金を出せと言われても出せるはずもない。
それくらいバックパッカーをやっている身ならわかるだろうと思うのだが。
まあ、チャリダーとバックパッカーは端から見ると似ているようで実は全然性質が違うもの。
結局わかりあえないものなのかもしれない。
今度べつの投稿でそれらの違いについて書いてみようか。
いつかどこかで同じような内容を書いた気もするが、まあいいだろう。
ターミナルの裏手にまわると、さっきのバスが目の前をゆっくり通り過ぎながら、運転手と補助役の人が
「あっちあっち!!」
と大振りのジェスチャーで伝えてくれる。
そちらへ行き、レストランもやっている宿泊施設へ。
20000ペソ(1000円)と平均的なお値段。
この店もこのあたりも雰囲気は良くないが、他はこれより値段が高く、この自転車を引きずりながらもっと遠くへ行くことは困難なので今日はここに泊まることになった。