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となりの国

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とあるクリスチャンとソガモソ舞い戻り



6時に起きる。

が、自転車を見張るため2、3時間おきに外の様子を伺っていたので寝足りなく、2度寝してしまった。

そしてちゃんと起きたのが9時。

喉の痛みがひどくなってしまった。

この時間になっても、ここプラジャブランカには誰もいなかった。


めんどくさそうにテントを片付けて浜辺を出る。

昨日のうちにトタ湖をどっちまわりで帰るのか考えた。

アキタニアのほうから戻って帰るか、それともまだ行ったことのないトタの町から戻るのか。

地図で見るとトタから行ったほうが5kmほど近いらしい。


しかし5km程度だったら、むしろ距離よりも道の状態が重要だ。

下り坂が多いほうが楽に早く進めるし、砂利道があるとスピードが落ちるうえにスリップやパンクの危険性が付きまとう。

トタ方面はそういうダートが続きそうだとも思った。

だが、町がいくつかあることだし、苦難を承知で知らない道をいってみるのも一興か。

せっかくなのでそうすることに決めた。

昨日のラーメン作りで飲み水がなくなったので店を探しながら進む。

いきなりのぼり坂スタート。

その分、その先にはくだりが待っていると思おう。

店はあったが水が高かったので先へ。

あと3kmでトタに着くらしいので、そこまで我慢だ。

’トタ3km’看板のすぐそばで出会ったのは、家の工事をしている人と、その人と話をしているサイクリング服の年配男性。

彼らに手招きされ、生ジュースと乾パンをごちそうになる。

そしてそのサイクリストから一緒に行こうと誘われた。

しばらく一緒に走ることに。

「ここから、湖、バイバイ」

こちらがわかるように、簡単な単語だけで話してくれている。

こういう人は中南米にはなかなかいなくて、大抵は好き勝手に早くしゃべりたくる。

なかなか珍しいことだ。

この人は外国語を学んだことがあるか、あるいは多文化の考え方を理解できる頭のいい人かのどちらかだろう。

彼の話では、ここから湖は見えなくなってしまうらしい。

そして予想通り地面はボッコボコのグラベル、しかも道路工事をしていて通りにくい。


トタの町に着く前に、一緒に走っている彼、カルロスさんが言うには、

ここに私の父の家があるのだけど、寄っていってなにか食べない?

もちろんOKを出した。

朝食を食べていなかったのでこれは嬉しい誘いだ。

道を外れ、奥へ進むと一軒の家があった。

中へ通される。

広い通路があり、右手側にキッチンや茶の間の入口が並び、左手側の窓からは暖かい日が入り込んでいる。

この辺にしては結構高そうな家だ。




    ↑飼われている犬とネコ。かわいい



    ↑カルロスさん


中から修道服姿のおばあさんが出てきた。

この家は敬虔なカトリック教徒なのだという。

急遽簡単な食事を出してもらった。

チーズはここで作っているらしく、牛乳の強い香りがしていて噛むたびにキュッキュッと鳴る。

これにグアジャバという果実の砂糖漬けを乗せて一緒に食べるのがエネルギー補給にとてもいい、とカルロスさん。

それとロールパンとココア、それから細切りのピースケーキを出してくれた。


食べ終わると、今度は昼食に誘われる。

昼食を食べたら車でソガモソまで送ってくれるとまで言ってくれた。

なんか最近すごい。

こんなに多くの人にお世話になってしまっていいのだろうか。

他のチャリダーとかバックパッカーって普段からこんななの?

確かに旅のノンフィクションの本では「どこどこの誰々さん家に泊めてもらった」とか「工場を見学させてもらえてそのうえお土産の酒まで頂いた」なんて出来事をよく見たけど、

でもいままでこんなにたくさん支援を受けることはなかった。

あったとしても時々。

もしくは数日間のみ。

いや、それでもすごいことなのだが、このごろはその比ではない。

昼食まで家のまわりの農場を歩き回り野菜や牧草地の説明を受ける。


そして昼ご飯。

ちゃんと食べる前にお祈りしている。

ここまでちゃんとしたキリスト教徒というのは今まで会わなかったので新鮮だった。



    ↑羊毛かなにかを毛糸にしている様子。これがポンチョになるらしい



    ↑ネコに小屋を取られてしまっているパコくん



昼がすみ、自転車と荷物を車に積む。

家の人達からお土産にチョコレートとチーズ、そして実をたくさんもらった。




この実、クチュバという名前で、見た目はほおずきの中に入った小さなミニトマトのような形をしているが、味は酸っぱいイチゴに少し酸っぱいみかんを足したような感じだ。

酸味があるので、疲れたときに食べると良さそうだ。



    ↑これを10個くらいもろた

車の中では自分の荷物に囲まれ身動きができない。

体の締め付けと睡眠不足のせいで、すぐに車酔いになってしまった。

いつもだったらもう30分はもつのだが、今回は早かった。

町に入るたびに解説をしてくれるカルロスさんには申し訳ないが、眠ることにする。

でないと吐いてしまいそうだった。

それくらいかなりひどく酔ってしまった。

ソガモソだよ!

の声で目を覚ます。

まだ気持ちが悪い。

車から降りMongui(モンギ)までの道を教えてもらう。

自転車は大丈夫かと言われ調べてみると、タイヤがパンクしていた。

今度は前輪だ。

自分で直すから大丈夫、

と言ったのだが、自転車屋のほうが早いから、とそこまで乗せて行ってくれた。

カルロスさんの家があるドゥイタマまで行ったら電話して、

という言葉を残し、去っていった。



    ↑このときもらったキャップ


車を降りると酔いは急速に回復した。

自転車屋はパンクの他に、サボっていたチェーンに油を塗ってくれ、ハンドルのサスペンション(クッションになるところ)にもたっぷり油をさしてくれた。

そんな彼らとその客と少し立ち話。

モンギまでは自転車で3時間、この荷物だったら4時間はかかるだろうということだった。

今日目指すつもりだったが、もう3時をすぎていたのでホテルの話を聞く。

この辺は安くて20000ペソ(1000en)、交渉すれば15000ペソ(750en)まで下げられるよ、と教えてくれるが、スペイン語が話せないのでそれは難しいのではないか。

区切りのいいところで別れ、教えてもらったモンギへの道をたどりつつホテルを探す。

が、ない。

ホテルがあるかどうか聞きながら進んでいくと、ある一人のお父さんがその場所を教えてくれ、しかもそこへ向かう途中自転車で息子と追いかけてきてホテルまで案内してくれた。

そして値段交渉もしてくれる。

25000ペソ(1250en)だったのが22000ペソ(1100en)になり、「もう金がないんだよね」とか「これから食事に行く」などと言っていたら部屋代20000ペソ+夕食代5000ペソで手を打つことになった。

結局25000ペソ払うことにはなってしまったが、夕食つきだしここにはwi-fiがあり、しかも部屋もなかなかいいところだったので損はしていないだろう。

ちなみに、カルロスさんの話だとトタ湖の標高は3100m、ソガモソは2100m、モンギは2800mあるらしい。

やはりこの先のぼりが続くのか・・・

ただ、トタ湖よりは楽に行けると考えると、少しだけ気が楽だ。




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