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となりの国

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聖火ランナーとのデットヒートと、有り金持ってかれる話

Mascotaを抜け出し自転車に乗って地面を蹴る。

天気はまだ不安定だが、これ以上のんびりもしていられない。

町から出てもしばらく平地が続く。
こんなに平らな道が出てくるのは久しぶりだ。

前に直してもらったギアが壊れているのに気がついた。

これでは一番軽いギアしか使えない。

せっかく走りやすいのに、スピードが出ずにノロノロと進むことに。

    ↑道路から見えた養鶏所


道沿いにあった食堂で、おばさんにポソーレを注文する。

始めは不機嫌で面倒そうにしているそのおばさんを嫌な人だと思っていたが、店を出る頃には手を降り合って別れをつけた。

道路を走っていると、松明をもって走っている集団を発見。

オリンピックの聖火隊だろうか。それとも国か州でイベントごとをやっているのだろうか。


    ↑おわかりいただけるだろうか。松明を持った人が後ろの車から少しはみ出して見えている。

オリンピックとかそういうのはよくわからない。

あまり興味がないから。

聖火をもった人は時折火の上でなにか液体を絞り出している。

きっと消えないようにアルコールかなにかを断続的にかけているのだろう。

夜はどうしているのか気になった。

平地から突然急斜面に変わり、自転車を押し上げていく作業が始まった。

汗だくになっていると、さっきの聖火隊が追いついてきて、わざわざ止まってビニールパックの水を差し出してくれた。

ありがたい。

ただこれ、飲めるの?

それとも冷やす為に使うのかな。

内容量が書いてあるところを見るとおそらく飲めるのだが、調べがつくまで取っておくことにしよう。

しかしこの山道をよくもまあランニングで行けるものだ。

交代交代で走っているとはいえ、この傾斜はきついだろう。



感心する。

この山の頂点を極め、それから急な下りになった。

隣は崖で、かなり怖い。

それとブレーキが心配だ。

削れて効かなくなるかもしれない。



だいぶくだってLa Estanciaという小さな村に到着。

ずっと上りだと思っていたのでここには明日着く予定だった。

予想外に早く進んでいて驚いた。



そこら辺にいたおじさんに話を聞いてみると、


海まであとはずっと下り坂、ホテルはないけどキャンプならどこでもしたらいいよ


ということだったので、村はずれにあったガソリンスタンドに目星をつけ、カフェで少し時間を潰した。



夕暮れになりレストランへ。

高かったので出て行こうと思ったが、小さくすれば25ペソだと言われ、それ+レモネードを注文。



しかしそれがまずかった。
素直に出て行けばよかったと後悔した。

25ペソと言っていたものは実は45ペソで、しかもレモネードも25ペソとめちゃくちゃ高い。

なんだこれは。

もうそんなに金は残っていなかった。

「この人が25ペソと言った」

と言っても通じていないのか聞く耳を持っていないのか、

従業員はにこやかな顔で「残りを出せ」としか言わない。

決着がつかず、財布を見せてこれしか入っていないと言うと

じゃあこれでいいよ、とあっさり料金をまけてくれた。

一応お礼を言って去ったが、怒りは収まらない。

礼なんて言わなきゃよかった、とイライラしながらガソリンスタンドに向かう。

財布はもう空っぽだった。



断られそうになりながらなんとかキャンプの許可が出て、スタンドの陰でテントを張る。

キャンプは楽しさと恐怖が両方味わえるのが、良いのか悪いのか。

ストレスはたまるし体の疲れも抜けにくいが、満点の星空はきれいに輝いているし、見下ろす村の灯りもあたたかく見えた。




    ↑目的のプエルトバジャルタまでもう少し


    ↑よくわからない動物だったので激写。1週間後に道路を横切るコイツの姿を見たが、猿のような犬のような、やっぱりよくわからなかった。




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