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となりの国

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ヤルマルでルーレットをやる。

ホテルを探しまわったせいで、このヤルマルの町の第一印象は悪かった。

しかしそんな町に、最終的には4泊もすることになる。

なぜかというと、その理由のひとつは料理がおいしかったから。
次の日の朝になると、

ああ、もう一度食べたい

と宿泊をつい延ばしてしまうのだった。

このホテルがあるビルは、1階が雑貨屋などの店が何軒か入っており、2階はレストラン、そして3階以降がホテルルームになっている。

その2階のレストランの料理が安いうえにうまい。

ここのシェフはアメリカでコックをしていたことがあるそうで、アメリカンとコロンビアンなテイストが見事に混ざり、豪華でおいしく仕上がっている。

それなのに、値段はなんと6000ペソ(300円)とお手頃だ。

初日に食べたのはチキンピカタとシチュー風のスープ。

カメラを置いてきてしまったので写真はないが、これが一番おいしかった。

2日目は豆のスープと肉そぼろとチョリソー。

これだけではちょっと物足りなかったので、このあと外の屋台にも足を運んだのだが、大きな牛串が4000~5000ペソ(200-250円くらい)もしていた。
日本円で考えれば安いかもしれないが、コロンビアの物価で考えるとこの量でこれはちょっと…という感じだったので屋台はやめて、スーパーでお菓子を買ってすました。

3日目。

白身魚(ペスカード)の具沢山スープ。

骨が時々あって少し食べにくかったが、魚は高くて普段は食べないのでこれは貴重だ。

トウモロコシも甘かったし、特にジャガイモがホクホクで甘くておいしい。

コロンビアはたしかジャガイモの生産量が多いとなにかに書いてあった。

一緒に出たブドウジュースも濃くておいしかった。

4日目。

白身魚のフリッターと魚介類シチュー。

シチューにはカニとカニかま、えび、たこ、ほたてが入っている。
このシチューがめっちゃうまい!


この量と品揃えで300円は本当に安い。

店の経営が心配になった。


ちょっとだけ英語ができるというシェフと話をしたが、明るく話す顔はとても楽しそうだった。
人はあまり入ってなさそうだが、イベント事によく使われているらしいので、それでなんとかやりくりしているのかもしれない。

もっと繁盛してもよさそうなものだ。


    ↑内装はこんなに高そうなのにお手頃価格

この町はカフェがたくさんある。

そこでゆっくりコーヒーを飲みながらだれかとおしゃべりするのがここのトレンドらしい。

自分もそれにならい、コーヒーを飲んでくつろぐことにした。


そうそう、コロンビアではコーヒーのことをtinto(ティント)とも言うらしい。
ときどきcaféが通じなくて困るのだが、どちらも同一のものだという。
甘いコーヒーがティントと聞いた事があるが、必ずしもそういうわけでもないようで、混合して使っているようだ。

Tintoと書かれていても、砂糖がたくさん入った甘いコーヒーが出てくるときもあるし、棒状の袋に入った砂糖や角砂糖を一緒に出してくれるところもある。

コーヒーを飲みながら考える。
それにしても、と。


以前に比べて気温がかなり下がった。

昼はまだいいが、夜はおそらく12℃くらいしかないのではないか。

半袖の人より厚着をしている人をよく見かけるようになった。

寒い地域に入ってから、無表情の人が多くなった気がする。


コロンビアの入口であったカルタヘナのような常夏のところだと、みんな笑ったり怒ったり知らない人同士で語り合ったり、いつも何かしらのアクションを起こしているのだが、

こちらでは他人をあまり寄せ付けないような雰囲気を出している。

打ち解けるとそうでもないのだが、これらは多分気温に影響されているのだと思う。

その分美男美女が格段に増えた。

特に女性は今まで通ってきた地域の中で一番レベルが高いのではないだろうか。

小顔できれいな細身の女性をチラホラ見かける。



ちなみに今まで通ったところだと、カナダは平均的にはそうでもないが、たまーに絶世の人がいたりする。

イケメンが多いところは、メキシコ中央とベリーズ、それからグアテマラの北東に多かったように思うので、女性のかたは行ってみたらいかがでしょう。





さて、ときは朝となり、外へと出かけてみる。

今さら気づいたが、山に入ってからレンガの家が増えた。

ことにこの町はレンガの色で一部赤褐色に染まっている。


金曜から土曜にかけてなにかのイベントがあるらしく、広場では大きなステージが用意され壇上で吹奏楽のバンドたちが楽しそうに演奏している。
人が多くてにぎやかだ。


    ↑昼はエキシビジョンで、夜の部がコンクールになっていた。夜はレベルが高かった



ルーレットの賭け事を晴天のもとやっていたので、ちょっとだけ参加してみることにした。

ルールは四角い台の上にボールを転がし、止まったところに賭けていたら配当金をもらえるというもの。

200ペソ一口で1点がけは10倍、2点がけは3倍返ってくる。

結果を言ってしまうと、3回 計1200ペソかけて1回当たり2000ペソもらった。

つまり800ペソのもうけである。

勝負運の弱い自分が勝つなんて珍しいことだが、でも勝ったといっても円に直すと40円だ。



このルーレットは4隅のどこかから落として玉を転がすのだが、どこでスタートするとどことどこに当たりやすいというのを確認してから賭けると多少当たりやすくなると思う。

やってみる人は参考にしてほしい。






    ↑セントロに立つカテドラル。中は意外と普通




    ↑街は坂になっているので、その奥の景色が遠くにみえる




    ↑町の端っこからはこんな景色がみえた



 
    ↑カラフルなバス。荷物がぎょうさん載っているのでトラックなのかもしれない



疲れていたのだろう、丸一日寝ていた日もあったりして、

そんな感じでヤルマルの毎日がすぎていった。


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山中のレストランで色々もらった話、ひさびさの町に至る




山岳地帯に入ってからというもの、飲み物のおかわりができる雰囲気がなくなってしまった。
ためしにコーヒーをおかわりしてみたところ、ちゃんと2倍の値段をとられた。
たくさん飲ませてくれるのは低地の暑い地域だけのようだ。


そんな空気も気質も冷たくなったこのあたりで、思いがけない出来事が起きた。

それはホテルを出てから数キロ走ったところにあるレストランでのこと。




走り出してそうそう見つけた店。

そんなレストランに入り、朝食とも昼食ともとれる時間帯に料理をたのんだ。
しかし値段が高く、9000ペソ(450円)もするらしい。

もっと安いのはないのかと聞いてみたところ、メキシコ訛りの店長はなんとすべて無料でご飯をごちそうしてくれた。


    ↑こんなにあるのにタダだとは。上の白いのはタラサのお家でも食べさせてもらったもの


コーヒーも勧められたがさすがに悪いと思い、断った。

すると少しさびしそうな顔をされる。
やっぱりもらったほうがよかったか。


そこの少年に
「これ、少ないけど」
と小銭を手渡される。


ええ!!

いいの?これ?!

すっごい助かる!!!



カンパまでしてくれるとは。

ホテルも併設しているらしかったので、昨日はこっちに泊まればよかったな。
体力的に無理だったけど。


    ↑ここの店の人はみんないい人たちだった




その先ものぼり中心の道がつづく。
休みながらゆっくり進んでいった。


それにしても肌寒い。
これでは自転車の荷台にくくりつけた洗濯物が全然乾かないではないか。
昨日はホットシャワーに気をよくして多めに洗濯してしまったのが仇になった。

服装も夏用から準冬用にチェンジした。


装備:
アウター  E.メキシコの古着屋で買ったTシャツ
インナー  E.ユニクロの網シャツ
ボトムス  E.ユニクロのカーゴパンツ - 短パン形態
アクセサリ E.バフとタオル


”準”冬用なのでこんなもんです。
まだ太陽が出ていれば温かいし、走っていると汗が出るのであまり厚着してもしかたがない。




空は昨日にひきつづき曇っている。
晴れていればきれいな景色なのだろうけど・・・
今は雲に隠れてあまり見えない。


雨が降らないか心配だったが、だからといってどこか屋根のある場所でずっと立ち止まっているわけにもいかない。


しばらく走っていると、





青空が見えはじめ、霧が晴れてきた。






さっと目の前の雲が流れて消えていく。
ファンタジックなシーンだった。


    ↑かがやく草木と少年、そして奥を雲が隠しているのがまるで絵のようだ




ずっと向こうの山まで見える。
こんな高いところまで来たんだな。
下を見るとちょっと怖いくらいだ。




草原に光があたりその陰影が起伏を浮き上がらせる。
がんばって登ってきてよかった。



下りが少し多くなってきたので、推進力はタイヤの回転に任せ楽をしてのんびり前進していると、今までとは比べ物にならない大きな町が。




看板に書かれていたYarumal(ヤルマル/ジャルマル)とはここのことか。





すごい。遠くまで家が並んでいる。
連日走り続けていたから、ここでは連泊しようかな。


そしてホテル探しが始まるのだが、この町がかなりくせ者だった。

ものすごい急な坂が堂々と町の真ん中を横切っているのである。


この町、中心部は平地なのだが、そこをちょっと外れるとどこも坂道なのだ。
小さな町に人が集まり、広がりすぎて坂にも家を建てざるを得なくなったのだろうと予想。

とにかく大変だ。
自転車は特に。
これはあまりウロウロしたくない。


ウロウロしたくないってのに、必死になってまわった15000ペソ(750円)の安宿3軒はどこも部屋がいっぱいらしい。

最後はこちらから

祭りかなんかなの? なんで空いてないの? ねえなんで?

と詰め寄るしまつ。

祭りはないけどあれこれ
と言っていたが聞き取れなかった。
多分普段から人が多いとかそんなことを言っていたのではないかな。


しょうがないのでセントロ(中心部)すぐそばのホテルに泊まることにした。
値段は20000ペソ(1000円)だ。
もっと安いホテルがあるのにかなり悔しい気持ちだが、立地がいいし従業員もみんな笑顔で積極的に接してくれるので文句はない。



ホテルの部屋をとったのは4時近く。
そんなに走っていない感覚でいたが、こんなに時間がたっていたのか。

さて、久しぶりのお休みだし、ゆっくりしてようかな。





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ここからアンデス山脈


    ↑オカリナ吹いてたら通り過ぎていった馬の列



のんびり起床、ゆっくり支度。

チェックアウトはいつでもいいと言われてある。

足の疲れは残っていないようだ。




入水可能な小川があるそのホテルを昼前に出ると、すぐに町に入った。

こんなに近くだったら、昨日はこっちまで買い出しに行けばよかった。



車のトランクに野菜と果物を山盛りにした八百屋が前方から大音量スピーカーつきでやってきたので、マンゴーはあるか尋ねてみた。

ざんねんながら緑のものしかない。

しかしこっちなら、

と黄色でカカオ形の果物を取り出す。

せっかくなので買った。

昼ご飯にしよう。



町をすぎて橋を渡ると、そこから道がのぼり坂へと変貌した。


    ↑橋からの景色もいい







    ↑その橋から見えた緑の教会。中を見たかったが閉まっていたようだったのでやめた



ここが山脈のスタート地点らしいが、低速ギアをものにした今の自分の敵ではない。

というか、低速のパワーに気づくの遅すぎるやろ!

もう1年以上走っているというのに。

緩めの坂をどんどんゆく。

どんどん、どんどん。

なかなか順調ではないか。










道行く車や帰宅途中の行商人にみかんをもらったころ、

時刻は3時30分過ぎ。


    ↑日本のみかんと同じ味がした



軍がたくさんたむろっている空き地を発見。

その隣にはホテルとレストランが隣接している。

その空き地からの景色がもうね、素晴らしいのひとこと。






兵士達とも仲良くなり、疲れてきたのでここのホテルに泊まることにした。





    ↑未だ慣れない写真に頑張ってポーズする



25000ペソ(1250円)で高いという顔をすると、

いやでも部屋はいいから。ほらベッドもしっかりしてるしトイレも、ね。

と猛アピールする宿の主人。


高地だから大変なんだろうなぁ、と思いながら、無理に負けてもらって20000ペソ(1000円)に。

最近は20000ペソでも高く感じるようになってきた。




窓からはさっきの景色が見渡せる。

が、虫が多い。

変な虫がわんさか部屋に遊びに来てくれる。

しっかりしすぎて体が痛くなるほどのベッドだが、しかし清潔な部屋に不満はない。



レストランのスープはみそ汁によく似た味だった。

元気が出てくる味だ。
そこのおばちゃんが活発に注文を取っておしゃべりに花を咲かせてくれた。



その日はゆっくりと休むことができた。
ずっと今日くらいの坂が続けば楽だな、と考えながら。



その先にどんな魔物が待ち受けているかも知らずに・・・






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