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となりの国

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やっぱりスペイン語講師は警察官 Ventaquemadaベンタケマ-ダ




家に泊めてくれるというジョンは、警察官だという。

本当に警察に縁があるなぁ、などと思っていたら、
「警察だけど研究者」と言うではないか。

どういうことだろう。

なんの研究者なのか聞いてみたところ、インターポールという返事が返ってきた。

インターポールってドラマとかで聞いたことあるけど、どういうものだったっけ?

よくわからないけど、検事や裁判官の人達と仕事をしているみたいだ。

(インターポール=国際刑事警察機構の通称)

昔は軍隊に入っていてゲリラ対策もやっていたらしい。

しかし見た目はひょろっとしていてそんな風には見えない。



とりあえず荷物をジョンの家に置かせてもらい、彼のたくさんの女友達に会って紹介を受けた。

アニメの影響で日本語を少しだけ知っていたり、ナルトやドラゴンボールの登場人物を空で言えたりする人もいるが、ほとんどの人は日本語はもちろん英語も話せない。

ジョンは英語を全く話せないが日本語はちょっとできるので、通訳の代わりをはたしてくれた。

みんなで写真を撮ったり意思疎通の取れない会話をしたりしてその日がすぎたのだった。




部屋に帰り、ジョンは自分が勉強している日本語の教材を見せてくれた。

教材といってもインターネットで勉強しているので、全部コピーだ。
こちらの勉強にもなりそうだったので、いくつか写真を撮らせてもらう。



こうしてこの滞在中、ジョンはスペイン語の先生に、こちらは日本語の先生になることになる。

彼はインターネットで日本語を勉強しているスペイン語圏の人達と、ラインのようなサイト(ワッツアップと言っていた気がする)でやりとりしているようで、
そこに自分が日本語で色々吹き込む流れになってしまった。

その相手となったのはアルゼンチン人の女学生で空手を習っているらしく、なかなか日本語が通じる。

その録音会話の合間に

「今のは全部聞き取れた!」とか
「頑張れ!」とか

スペイン語が流れているのがなんだかおもしろかった。

日本人に対して英語を話す英語話者は、きっとこういう感じなんだろうと思った。


次の日、ジョンの仕事が終わるのを待ちながら街をブラブラ。
カフェでコーヒーを飲んだり店を回ったりしていたが、飯時になるたびにジョンが食事に誘ってくれた。

そしてコロンビアの料理を紹介してもらいながら何を食べるか決めるのだ。
スペイン語の名前を口にしながら、まわりの友人達を日本語でからかう。

「バカ」「アホ」という言葉を覚えていたので驚いたが、スペイン語で”バカ”は牛のkと、”アホ”はにんにくのことである。
同じ発音なのと意味が意味なので、覚えやすかったのだろう。


そのように日本語にまわりを慣れさせてくれたおかげで、こちらもすんなりとけ込めるような空気を作ってくれた。

ジョンが言うには、
コロンビア人は外国人が好き
らしい。


だから知らない人からいきなりこちらへ向かって大声をかけたり、
おい誰か中国語話せるか?
と陰で言っていたりするのだろう。


ちなみに、多くの人は日本語と中国語は同じだと思っているし、
外人だから値段を釣り上げたり値引きしない、ということもよくある。




    ↑ジョンの終業を待っているときに食べたイチゴクリーム。イチゴとホイップがこんなに入って1000ペソ(50円)は安い




仕事終わりの夕方6時。
気になっていた教会の中を見せてくれることになった。
いつまでも開かない教会を、神父を呼び出して開けてもらう。

中は小さなステンドグラスがいくつか並んでおり、予想以上にすばらしい。
ジョンと神父さんが「これは サントなんとか様 の絵だよ」などと軽く解説してくれながら見てまわった。
















もうすぐこの町でパーティがあるから出ましょう

とジョンが言ってくれる。

お言葉に甘えてその日まで居候させてもらうことにした。

しかし、町の祭りまでは1週間以上空いている。

その間に、もっと北にあるビジャデレイバという町を見に行くことにした。




その夜はジョンとその友達2人を呼んでビールを飲みかわしながら店に置いてあったカラオケマシン(ジュークボックスといったほうが近い)で音楽をかけまくるのだった。





    ↑なぜかカラオケの画面にはストリートファイターの実写版が流れる

次の日、ジョンと一緒に朝食を食べてから一人、北へむけて出発した。




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今日はブレイク




翌朝、
残ったチャーハンを温めて食べながら、犬達といっしょに昼までラウロが起きるのを待った。

彼が起きてきたので今から出発することを伝えると、ラウロはこの先の道の情報と、距離的に今日泊まるのにちょうどいい町の名前を教えてくれた。

この先しばらく上り坂があり、その先はずっとくだりが続くらしい。

途中の湖がとてもきれいだということも教えてくれた。

実際走ってみるとこの坂がかなり辛い。

始めは緩い坂だったその斜面はしだいに高さを増し、何度も休憩をはさまないといけなくなった。

しかもここは2000mを越える高所。

息がすぐに上がってしまう。



軽いギアでとにかくペダルをこぐ。

こうなると、もうなにも見えない。

山がきれいだとか、花が咲いているだとか、そういうことを気に留められなくなる。

坂の途中にあったパン屋で昼食をとりつつ、どうにかこの山を越えることに成功。

そこから一気にくだり道になり、聞いていた通り奥には湖と橋が見えた。







    ↑サイドの景色はこんな感じ

湖は兵隊が数人見張りをしていた。

ゲリラかなにかが来るのだろうか。

その湖はとても美しく見えた。

ここでキャンプしたいくらいだった。

自転車で苦労して来たからきれいに見えるのだ、とかそんなキザなことは言わない。

たぶん晴れているからだろう。

疲れているときれいな景色もどうでもよくなってしまう。

どこかの研究でも、疲労がある場合は色彩を検知する能力が下がるという実験結果があったそうだ。

かといって、バスや車ではすぐに過ぎ去ってしまうので、やっぱり景色を十分楽しめるとは言えない。

自転車や歩きでのんびり世界を楽しむのが、自分は好きだ。




    ↑この湖で釣りは禁止らしい



    ↑湖沿いにあったレストランからの景色



    ↑そのレストランは高そうだったので、次の町へ行って食事をした
     おいしかった



道をずっとくだる。



緑が生き生きしていて見応えがある。



空も雲もとてもきれいだ。



その先Choconta(チョコンタ)というおいしそうな名前の町へ。

昨日着く予定だった町だ。

ホテルつきのガソリンスタンドがあったので、とりあえず値段を聞くため訪ねる。

値段は20000ペソ(1000円)とまあまあで、wi-fiはないが部屋はきれいでトイレシャワーも一緒になっている。

この設備で20000ペソはこの辺では上々なので、ラウロから教えてもらった町よりまだまだ手前だが、今日はここで過ごそうと思う。

荷物を置いて町の中心部に入っていった。

外から見ると小さそうなこの町も、中へ入ってみると家や店が密集していて活気がある。

特に中心広場は人がいっぱいいた。


    ↑外見


    ↑中見



帽子を地面においてオカリナを吹いてみようかと思ったが、勇気が出ずにやめてしまった。

帰りにまたここに立ち寄ってそのときに吹いてみよう、と嫌なことを先延ばすことにした。

いや、「ことにした」というより「ごまかした」と言ったほうが正しい。

本当に吹くかどうか、自分でも定かではない。

気温が寒いこのチョコンタだが、いいホテルを見つけたため暖かいベッドで眠ることができた。

久しぶりにゆっくりくつろごう。




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スペイン語の先生は警察官


~~~~~~

役には立たないスペイン語講座

marica(マリカ)という言葉は「ゲイ」という意味があるのだそうですが、これは仲の非常にいい同性の友達への呼びかけにも使われます。

わざわざ言葉のラストに毎回つけ加えるのです。

ここら辺の方言なのかもしれないので、スペイン語圏どこでも使えるのかどうかはわからないのですが、最近はamigoよりもこのmaricaのほうがよく耳にします。

調べてみると、「腰抜け」という意味もあるらしいです。

これは憶測ですが、このあたりではどうやら仲の良い人を冗談めかしてけなすのが一般的な友人との付き合い方なのかもしれません。

イギリスでもそういう非常にフランクな人付き合いをするということを耳にしたことがあります。

この呼びかけを異性にも使うのかはちょっとわかりません。

男が女に「プリンセーサ」と言っているのは何度か聞いたことありますけど、これは一種の口説き文句のようなものなんでしょうかね。

あとはhuebo(ウエボ=卵)を使った言葉で「くそくらえ!」みたいな意味があると聞いたのですが……忘れてしまいました。

コロンビアではこのように、食べ物を使った慣用句が多いらしいですね。

コロンビアの料理おいしいですもん、それも頷けます。

~~~~~~

そうそう、2つ前の投稿で書き忘れてましたが、一番行きたかったCaño Cristales(カニョクリスタレス)という川へは行くことができなくなりました。

そこへは行くには道がなく、飛行機で飛ぶしかないらしいのですが、この時期はその飛行機が出ていないそうです。

そんなわけで適当に仕入れた写真だけ張っときます。



警察官の家に泊めてもらった、という話から。



家には他の人も住んでいるそうで、ルームシェア状態になっていた。

住んでいるのは女性の看護士とその彼氏で、彼氏のほうはボゴタの歯科学生であり、今は休みでたまたまこちらへ泊まりにきているのだそうだ。

その彼氏は英語が少しできるが、他の人はまったくできなかった。

つまり言葉はほとんど通じない。

しかしそんな中でも家主のラウロは、

俺がスペイン語の先生になってやるから

と色々な言葉を教えてくれようとした。

この日はみんなまだ仕事があるということで自分一人が家に残ったので、シャワーを借り、それからキッチンが汚れていたので片付けた。

茶碗洗いをし終わる頃には警官の2人が帰ってきて夕食を買ってきてくれた。

ぶにゅぶにゅした肉料理でちょっと食べにくいものだったが、ありがたく食べさせてもらう。



この家では黒い犬が2匹飼われている。

一匹は芸がうまい老年のラグロ、もう一匹はいつも元気に暴れ回る年若いソル。

2匹がじゃれ合ってそのうち喧嘩に発展するので、なかなか賑やかなお泊まりとなった。

ラグロの隣の、ベット状に変化するソファーに眠らせてもらった。

次の日に出発しようと準備をしていたら、

俺たちは昼まで仕事だから、村んなかをブラブラしといてくれ

と言われた。

どうやらまだ泊まっていていいということらしい。

なにも言わないまま、2連泊が決定した。

昼までセスキレ村を見てまわる。


    ↑交番の近くには小さなメルカド(マーケット)がある


    ↑街中の様子↓
 
 


    ↑すぐ奥に峰々がよく見える



教会が立派だった。

コロンビアでは、どんな小さな村でも教会はきちんと見栄えよく建てられている。
ここの教会はオシャレな造りになっていて興味を引かれた。



中を見たかったが、扉が閉まっているのでそれは叶わなかった。

数ブロックしかない村だったが、人がたくさん出歩いていて賑わっていた。

昼休み中のラウロ達2人と食事をし、交番で他の警官たちに紹介され取り囲まれふざけ合っていると、ラウロだけ就業時間になったようでいったん家に帰ることになった。

どうやら今日は夜勤があるらしく、それで早く帰れたらしい。



    ↑最初に出会った警官2人。手前がラウロ

ラウロのバイクにまたがり山のほうへ連れて行ってもらった。

そこには友達だという女性が住んでいて、ラウロさんから彼女を旅に一緒に連れて行けとしつこく言われた。

結婚しちまえばいい

とはやし立てるが、この人のこと別に好きではないし、それに言葉とか金とかどうするんだろう。

そう聞いてみたが、そりゃなんとかなる、というようなことしか言わない。

ワインを数杯もらって別れ、今度は湖方面へ。

奥に入るには外国人は入園料がいくらかかかるそうだが、その手前の柵の位置から見学。



このへんの水源になっていて、水力発電にも使われているのだとか。

そしてその後、山のもっと上へバイクで登り、村を見下ろせるところへ連れて行ってくれた。

    ↑遠くに住む妊娠中の奥さんから何度も電話がかかってくるらしい

日も暮れかけたので帰宅。

帰りがけに八百屋へよったので、今夜は自分が夕食を作ることを宣言した。

泊まらせてくれたお礼に、と思ったのだけれど、材料費は負担してくれたのであまりお礼にはなっていない。



帰って料理開始。

ラウロは夜勤に備えて眠るらしい。



メニューはいつものチャーハンとトマトスープにした。


親子丼を作ろうかと思ったのだが、材料が足りなかったので断念。

肝心の鶏肉がなかったのだ。


ここコロンビアは牛肉が安い代わりに鶏肉が高い。

日本と真逆である。

実は料理を二人分以上作ったことがなかったのでうまくできるか心配だったが、なんとかそこそこ食べれるくらいの味に仕上げることができた。

歯科医学生の彼氏が率先して食べてくれ、

すごくおいしいよ。今すぐシェフになれるね

と言ってくれたが、本心かどうかはわからない。

昔ファミコンのカラオケができるゲームで、採点時に

「イマスグスターニナレマース」

という適当なコメントが流れるものがあったのだが、

この時、そのフレーズが頭をかすめた。

それのせいで、どうにもお世辞にしか聞こえなかったのだ。

同時に、そんなどうでもいいものを今更思い出したのがちょっと可笑しかった。



ラウロが言うには、この村は仕事がたくさんあるという。



もうお金もないし、もし働けるならどこかで働き口を見つけたいが、

そう簡単にはいかないんだろうなぁ

と思ってしまうとどうしても前向きな返事ができない。




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