- 2024/11/22
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今のところ自転車でなんとかやりくりしつつ 踏ん張りながら だましだまし 時には励まし合い時には喧嘩もしながら一人で世界を旅行中です。よかったらpart2 現地情報ややってほしいこと、知りたいことなどありましたらコメントかメールにて受付中!
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朝起きるとおばあさんが外で作業していた。
この庭に今度なにか作るらしい。
テントを張らせてもらったところに肥料があったので、畑を作るつもりなのかもしれない。
荷物は手を付けられていないようだ。
テントを片付けて出て行こうとしたところ、朝食を作るから待っててと呼び止められた。
昨晩テントの中で両腕を30ヶ所以上虫に刺され痒かった。
両腕に小さな赤いポツポツが広がっている。
それを見たおばあさんは葉っぱを数枚むしり取り、水で揉みほぐして腕にこすりつけてくれた。
芋料理と油で揚げた小さな肉の塊、それからココアを作ってくれた。
以前にもアルゼンチンのチャリダーがここへ泊まったことがあり、そのときもこのように料理をふるまって写真を撮られたという話を聞き、
それじゃあその習慣にならいましょう、ということでおばあさんの写真を撮らせてもらった。
別れ際に
もう一泊しておいでよ、出発は明日でもいいじゃない
と引き止められた。
しかしそうも言っていられない。
少しでも先へ進まなければならない。
お別れを言う。
神様に祈りを捧げられて。
さびしそうな顔でたたずむ姿が尻目に映った。
昨日とは反対に上りがずっと続く。
途中でコーラなぞを買って飲みつつ自転車を押して歩いた。
5kmほど先にいったところでホテルと店とレストランをいっしょにやっている小さな店を見つけた。
そこで休憩。
水を補給していると、椅子に座っていた若い男性が話しかけてきた。
話が理解できていないと分かるたびに大げさな笑い声を上げる。
なぜか気に入られ、
近くにプールがあるから泳ぎにいこう
ということになり、荷物共々そちらへ向かった。
そこは天然のプールになっていて、若い男女が泳いだり談笑したりして遊んでいた。
荷物はみているからそこへ置いて着替えておいでよ。
心配ではあったが、せっかくだし泳いでいくことにした。
水は緑であまりきれいではない。
非常に冷たく、ずっと浸かっていると体が冷える。
そこで陸に上がると、今度は太陽がギンギンに照っていて体を焦がす。
中に入ると寒く外に出ると暑い。
どこかのなぞなぞか!という話だ。
中はヒエヒエ、外はアツアツ、これなーんだ。
水中でバシャバシャしたり水際でみんなと写真を撮ったりしゃべったりしながら過ごす。
ここにいる全員が友達だからな
と言ってくれた。
いい時間になり、泳ぎ疲れてダルさを感じていたので、さっき水を補給したレストランに泊まることにした。
あそこはホテルも兼任していると書いてあったのだ。
1泊12000ペソ(600円)ととても安い。
だがすごく悪い部屋ということでもなかった。
狭く窓も全解放するか閉めるかの二択を迫られる構造で、扇風機がなかったので暑かったが、それでもこの値段にしては上出来だ。
↑中はきれいにされている
↑窓からの景色もよかった
料理もそれほど高くなく、しかもすごくおいしかった。
クリスマスにサントゥアリオを抜け出す。
↑首都のボゴタまでは373km。非情な数値である
サントゥアリオから先へ行くと、景色はなにもない山の中へ。
そしてしばらく走ると、目のまえに唐突に崖が現れる。
そこは観光地になっているようで、レストランやレジャー案内所、ホテルが点々と現れては消えていく。
↑崖を見下ろせるレストランもある
↑パラグライダーが主流のアクティビティ。やってみたい。が、怖い
ここから道は急なくだりになり、楽に先を急ぐことができた。
高度が急激に下がったようで、気温は急上昇。
日陰に入ると肌寒かったのが、日陰でもまだ暑いほどになった。
空気が乾燥していたのも、ジメジメとした気候に変わった。
秋の終わりから突然真夏になったような気温差だ。
体感季節がどんどん変わり、体がおかしくなりそうだ。
せっかく短パンから長ズボンにしたのに、これでは意味がない。
20kmほどくだって今度は上り道。
自転車を押し上げる。
天気がよくなり汗が止まらない。
体力を著しく消耗している。
休憩がてらにオカリナを吹いていたら、子犬がこちらに歩いてきた。
こちらが動くとビクッと少し退く。
しかし興味はあるようで、オカリナをしまって自転車をゆっくり押して進むと、数歩前を着かず離れず小走りにテチテチ走る。
そのまま彼女に先導されて先へ進む形になった。
↑困り顔で道案内してくれる
後ろをチラチラ見ながら早足で坂をのぼっている。
彼女はどうやらあまり世間慣れしていないようで、車やバイクが来てもギリギリまで気づかない。
こちらが教えてあげても不思議な顔をするばかりだ。
そしてギリギリになって慌てて横っ飛びに避ける、を繰り返す。
そのうち宿が見えたので、値段を聞いてみた。
28000ペソ(1400円ほど)と高かった。
戻ると子犬はこちらを待っていてくれたようで、またいっしょに歩き出した。
その先、大きなレストランで大型の犬2匹に追い立てられた子犬は、反対方向へ逃げていってしまった。
そこは小さな村になっていた。
道の端に埋設された小さな標石には 47 の数値が書かれている。
スタート時には 0 だったので、今日は47km走ったことになる。
昼からスタートしたにしてはまあまあじゃなかろうか。
hospedaje(宿)と書かれた看板があったのでそこへ尋ねてみたが、ダラッと椅子に座りながら気だるい雰囲気のまま「部屋はない」言われた。
他のところでテントを張ってもいいか聞いたが、それも断られる。
するとそこにちょうど買い物に来ていたおばあさんが大きな目でこちらを凝視したあと、
「この先に広場があるよ」
と教えてくれ、買い物をすませると道案内してくれた。
危ないからもっと脇を歩きなさい。
とおばあさん。
草の中に落ちているゴミを拾い、使えないとわかると投げ捨てながら道路を歩く。
道の端にある草むらをかき分けていくと、そこにボロボロの小さな小屋があった。
まわりはゴミで散らかっている。
その裏手に案内された。
大きな庭のようになっていて、一番奥に物置のようなつくりの場所がある。
「広場」と言うからには公園を想像していたのだが、着いた先は彼女の家の敷地だったようだ。
トタンでできた屋根もあり、ここなら夜露や雨にも濡れないで過ごせそうだ。
おばあさんはこの小屋にすんでいて、晩ご飯を作ってくれた。
だれも泊めてくれなかったでしょう? ここの人は自分のことしか考えてないのよ!
とおばあさんが怒った顔で言う。
おばあさんは料理がとても上手で、まな板がなくても手の上でスイスイと肉をさばき、ポテトはまるで売り物のようにきれいな形と味に仕上がっていた。
物はなくても、そこら辺にある植物や拾ってきた物でなんでもまかなってしまう。
そこここに落ちているゴミに見えるものも、それぞれちゃんとした役割があった。
こんな貧乏そうな人にただおごってもらうのも申し訳ないので、こちらからもメデジンで買ったインスタントラーメンを差し出した。
なかなか通じない会話の中であーでもないこーでもないと言い合い、時間が過ぎていった。
それにしても彼女はどうやってお金をかせいでいるのだろう。
料理で使われていた材料は店から買ってきたものだった。
意思疎通を計ろうと出してくれた自転車柄のノートを覗き見ると家計簿がつけられていたのだが、お金を支払った金額は高からず低からず。
両親は小さい頃に亡くなり、子どもがいたが今は別の町へ行ってしまったと言っていた。
夜に貸してくれたライトもかなりいいもので、しかも新しい。
以前このような状況でものを大量に盗まれたので、どうしても色々考えてしまう。
夜テントに入って寝るときにおばあさんの素振りが怪しかったので、警戒しながら眠ることにした。
昨夜ネットゲームにはまってしまい寝不足だ。
しかもそこで嫌なことがあって、精神的にも参っている。
自分でもバカだと思う。
なぜ出発前夜にそんなことをしたのか。
負けず嫌いがネットゲーをするべきではないということを学んだ。
そんな調子なのでもう1泊しようかとも思ったが、
しかし考えてみると、いや考えずともこれまで悠長に構えすぎている。
これ以上のんびりしていたらコロンビア出国が間に合わなくなってしまうので、ここは気合いを入れて出て行くことにした。
今日行く道はおそらく山の中。
しかしほぼ直線的にハイウェイへと戻るので、グルッと後退しながらマリニージャへ引き返す道よりは早いはずだ。
地図を見るかぎりではそういう風に見える。
距離にして15kmくらいだろうか。
そして進むべき方向を尋ねながら走り出したのだが、この道は未舗装で砂利道だった。
しかも傾斜が思っていたよりずいぶんキツい。
これは自転車にとっては過酷である。
↑見晴らしだけはとてもよい
戻ろうか。
しかしここまできて戻るのも心が折れる。
先へ行ったほうがいいのでは・・・
そんなことを考えている間にアップダウンを繰り返し、すでに戻れないところまで来てしまった。
やはり、さっき道を聞いたときに「戻ってマリニージャから行ったほうがいい」と言っていたシスターの話をよく聞くべきだった。
彼女の
神はあなたを見守っていますよ
と繰り返し唱えられた言葉をフラッシュバックする。
そういえば、もうすぐクリスマスだなぁ。
しかも悪いことに、この道、いくつも枝分かれしていて非常に分かりにくい。
看板なんて気のきいたものなぞ立っているわけもない。
稀にいる住民に聞いたりわずかな交通量をたよりにそれらしき方向へと進んでいく。
↑シンプルかつ質素な味のあるバス停。こんなところでもバスは走っているのだ
今のところ寝不足はそこまで体に影響していない。
精神的にかなり不安定にはなっていたが、それが悪路と時間経過の心配を忘れさせてくれた。
地図で見るとわずかな距離だったが昼過ぎにはすでにクタクタのヨレヨレになり、
それでもなんとかSantuario(サントゥアリオ)の町に着くことができた。
これならマリニージャへ戻ってちゃんとした道を走ったほうが早かったかもしれない。
町の入口にあった商店で食べ物を買おうと入る。
するとこちらのクタクタさ加減を見た客がパンとジュースをおごってくれた。
コロンビアに入ってから、多くの人にたくさんのものをごちそうしてもらっている。
それはエルサルバドルの西側とは比にならないほどの量だ。
サントゥアリオのセントロ(中心部)に入ると、その大きさに驚いた。
地図を見た感じ小さな村を予想していた。
しかし実際はオシャレな喫茶店やブティックが並び、高そうなアイス屋が数軒、文房具屋にペットショップなど、多くの店に囲われた広場がそこにあった。
商店街に沿って進んだ先のホテルは22000ペソ(1100円)とあまり安くない。
しかもwifiが繋がらないという。
すでに疲れていたので他を探す気もなく、この一角で一番安いこの宿に決めた。
寝不足のせいか目が充血していて痛い。
まるで出血しているかのように赤い筋が走っていた。
次の日はクリスマスイブ。
体も疲れていることもありクリスマスということもあって、もう1泊することにした。
昨日、自分へのクリスマスプレゼントとして腕時計を買おうか迷ったが、いいと思った日本製のその腕時計は文字盤をおおう部分がガラス製であり、すぐに割ってしまいそうだったのであきらめた。
そこの貴金属店ではこの日もこちらのことを覚えてくれて手を振ってくれるし、ホテルの隣の溶接屋をやっている主人も挨拶してくれる。
↑トップに使っている写真の教会内部
”町の服”と”自転車で走るときの服”は違う。
町では見た目貧乏そうであり、かつまわりにとけ込める服装というのがベストだと思う。
それに沿えているかわからないが、このときは
E. タンクトップ
E. 長袖シャツ(この辺は曇ると寒いため)
E. ズタボロシーンズ
という出でたち。
ジーンズはそろそろ買い替えたいのだが、なかなか安くていい物が見つからない。
↑4階建ての建物が並んでいるところが都会っぽい。まあそこまで大きいわけでもないのだが
この町は芸術家が多いのか、絵を売っている店がいくつか見受けられた。
橋の上でもこのとおり。
見ていて楽しくなる光景である。
朝早めに起き、グアタペの街を見てまわった。
昨日腕時計をどこかに落としてしまったらしい。
ベルト部はボロボロになり針を動かすネジ部分も固くなっていたが、丈夫で水に強くなかなか気に入っていたものだ。
岩山を出るときにはポケットにあることを確認していて、ホステルでなくなっていることに気がついたので、おそらくボートのところで落としたのだろう。
なかったらなかったでいいけど一応聞きにいってみよう。
と、出発前にボート乗り場へ行ったのだが、その係員たちと意思疎通が全然できず、険悪なムードで去ることになった。
気分は最悪。
腕時計は見つからなかった。
先の道をチェック。
すると、グアタペからハイウェイに戻る道はかなり遠回りになってしまうようだった。
このまま進まずに、まずは一度エルペニョールに戻る。
その道中、今度はポーチに入れていたペンを落としてしまったようだ。
ポーチはチャックが錆で壊れていて、数ヶ月前から開けっ放しの状態になっていた。
悪いことがつづく。
運気が落ちてきたのか。
エルペニョールに着き、
それじゃあ別ルートから先へ進みましょう
と思う間もなく、歩道を歩いていたおじいさんに昼食の誘いを受けた。
少し迷ったがお願いしてごちそうになることに。
近くのレストランで料理とビールをいただく。
なんだったら家に泊まっていきなよ
とおじいさんが言ってくれる。
いい家だしご飯もちゃんと出してあげるし自転車も置けるし絶対安全だよ、
ということだった。
しかしその誘いがとてもしつこく、しまいには「金がないならあげるから」という話にまでなってきた。
…なにか怪しい。
しかもこちらを見つめ、小声でボニート(美しい/かっこいい)だのなんだのつぶやいている。
聞いてみると、彼はゲイだったようだ。
ついていかなくてよかった・・・
昼飯のお礼をいってなんとか別れたが、その攻防は数時間続き、すでに3時近くになろうとしていた。
いまからではさすがにきつかろう。
今日はここに泊まって出直そう。
以前泊まった宿に行こうと道路を走っていると、昨日の夜いっしょだったカップルの車に出くわした。
彼らと話をして写真を撮り、
アルゼンチンへ行ったらぜひ家に遊びにきてくれ、
と言ってくれた。
前にお邪魔したホテルでは、バーも営むおじいさんがニコニコ顔で迎えてくれる。
迷惑がられるかと思っていたのでその対応が嬉しかった。
これまた以前行った安レストランでも優しい笑顔で出迎えてくれる。
これでしょ?
↑上に比べると量は少ないが、安くてうまい
あまりにも居心地がよく、ここに2泊だったか3泊だったかしてしまったのは言うまでもない。
↑平日でも広場でバンド演奏をやっていた。ドラムを演奏するまだ小さな男の子がかなり上手だった
ちなみにここまで1日15kmペースだ。
コロンビアを脱出できるのか心配になってきた。